近視の子どもが増えている
今世界中で近視の子どもが増加していると言われており、特に日本を含めたアジアの地域で顕著と言われています。近視を知って、お子様の「目」にも向き合ってみましょう。
視力1.0 未満の子どもの割合は年々増加傾向です。
また、学年があがるごとに近視の度数も強くなり、眼軸長(目の長さ)も小学校の高学年ですでに
大人と同じぐらいの長さになっていることが調査でわかりました。
ヒトの目はよくカメラに例えられます。カメラのレンズに相当するのが角膜と水晶体で、
フィルムに相当するのが網膜。つまり、角膜と水晶体を通って屈折した光が網膜上で
ピントが合った時はじめて、私たちは「モノ」をはっきりと見ることができます。
近視とは、遠くから来た光が網膜よりも手前でピントが合う状態で、近くのものにはピントが合いますが、
遠くはぼやけた見え方になります。近視の起こり方(発生機序)には2つの種類があります。
近視の強さは、視力ではなく、矯正するために必要なレンズの屈折度数(光を曲げる力)によって表されます。
屈折度数の単位はジオプトリ―(D)が用いられ、近視の場合はマイナス度数(例えば、-3.00Dなど)となり、
数字が大きくなればなるほど近視が強いことを表します。
親子で学ぶ近視について
これからお子様と一緒に、近視と付き合っていくにあたり、近視のデメリットやリスクを理解しておくことが大切です。この機会にぜひ、お子様と一緒に近視を学びましょう。
近視の発症要因は、親が近視でそれを受け継いでしまう遺伝要因と、
ライフスタイルや暮らしの変化などの環境要因の両方が関与していると言われています。
近くは見えるけど、遠くが見えない、これが近視です。
そのため、黒板など遠くにある文字などは見えにくく、近視の子どもは目を細めて見ることが特長です。
そのほかにも代表的な近視の兆候をまとめたので、お子様と一緒にチェックしてみましょう。
学校健診では視力の値を知ることができるので、子どもの日常の見え方の目安を知ることができます。
黒板の文字を読み取る場合、文字の大きさにかかわらず、
教室のどこの席からも文字を判読するために必要な視力は0.7以上が必要となり、
教科書の活字を読み取るための近方の視力も0.7以上が必要と言われています。5)
裸眼視力だけでは正しい目の状態はわかりません。視力の低下は近視だけではなく、他の眼疾患で起こることもあります。裸眼視力だけでは判断せず、眼科で診てもらうことが大切です。
近視進行の予防と対策
そもそもなるべくなら子どもを近視にはしたくありませんよね。そのためにも、毎日の暮らしを見直し、できるだけ予防を心がけることが大切です。
近視は小学校3~4年生で発症することが多いのですが、最近では発症の低年齢化がみられます。
また、近視になった年齢が早いほど、将来、強い近視になりやすいと言われているので、
なるべく早期からの予防を心がけましょう。
屋外活動の時間が長いほど、近視発症のリスクが軽減されると言われています。
外遊びは子どもの健康にも大切なこと。これを機に、ぜひお子様の外遊びを増やしてみてください。
近くの作業が長時間続くことで、近視になりやすいと言われています。
近年はデジタルデバイスの普及により、近視になるリスクが高くなる可能性があります。
近視の予防のためにも、20-20-20のルールを習慣にしましょう。
近視の進行を抑制するための治療法
近視はそのままにしておくと進行し、近視の度数が強くなる場合があり、また、度数が強くなると視力以外にも影響を及ぼす可能性があると言われています。近視の進行を抑える治療として効果があると言われている治療法もありますが、まずは近くの眼科で診てもらい、近視と向き合っていきましょう。
近視が強いほど様々な合併症を併発するリスクが高くなります。
これらの合併症は、視力低下だけではなく、視野欠損(見える範囲が狭くなる)などを招くことがあります。
そのため見え方の質(Quality of Vsion=QOV)が低下し、生活の質(Quality of Life=QOL)を
下げることにつながります。
近視が進行する原因の多くは眼軸長が長くなることです。眼軸長が長くなることにより起こる他の眼合併症の可能性を低減するため、点眼薬やコンタクトレンズを使用し、「眼軸長」の伸展を遅らせ、近視進行を抑制するための研究が行われています。
※2023年6月現在、本邦において厚生労働省から承認の得られた近視進行抑制を目的とした医薬品や医療機器はありません。
低濃度アトロピン(点眼薬)
有効成分アトロピンを低濃度で配合した点眼薬による点眼療法です。アトロピンを低濃度で使用することにより、副作用が少なく、近視の進行を効果的に抑えることが多くの研究で示されています。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジー(オルソK )は、特殊な形状のハードコンタクトレンズを就寝時に装用することで、角膜上皮の形状変化から近視矯正効果を生じさせ、日中は矯正具なしで良好な裸眼視力を得ようとする屈折矯正法です。近視の抑制効果があるという報告がされています。
ソフトコンタクトレンズ
多焦点ソフトコンタクトレンズは遠方と近方を見ることが出来る度数をもち、小児に使用した場合、近視進行の抑制に効果があると報告されています。
また、海外ではDual-Focusソフトコンタクトレンズなど、小児の近視進行抑制を目的とした様々なデザインのソフトコンタクトレンズが開発されています。
近視治療用眼鏡
『累進屈折力レンズ眼鏡』 を使用して、近くを見るときの調節量を軽減させ、網膜の中心部における焦点ボケを防ぐことで、近視進行の抑制効果が期待されています。